10代は”リア充アイドル”?承認欲求の変化に対応する人材育成とは
セールスフォース・ドットコム 加藤 希尊 氏

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2018-08-22 BY うえの みづき

ad:tech tokyo2018のアドバイザリーボードメンバーは総勢35名。業界のリーダーであるメンバーのみなさんからのデジタル広告、マーケティング業界への問題提起を事務局が連載形式でインタビューします(特集一覧はこちら)。

今回登場していただいた株式会社セールスフォース・ドットコム マーケティングディレクター加藤希尊氏は広告代理店と広告主、両方の経験を持つプロフェッショナルマーケターです。セールスフォース・ドットコム社が行った生活者の承認欲求に関するリサーチの解説と、顧客の欲求変化に対応するためのマーケティング人材育成についてお話を伺いました。

—セールスフォース・ドットコムさんは消費者に関する様々な調査を実施し発表していらっしゃいますね。最近の調査では人の認められたい欲求「承認欲求に関するリサーチ」が興味深かったです。

Instagramなどソーシャルメディアでの投稿に関する調査を行い、今の生活者が抱えている承認欲求を分類したものですね。承認欲求の強弱、承認してくれる相手の重視具合、の2つの軸を設定し、生活者全体を4種類に分けました。承認欲求も強くてSNS投稿への「いいね!」数などの量も求める「リア充アイドル」、承認数は多い方を好むけれど承認欲求自体は弱い「議論系オタク」、内輪での承認を求める「ミーハー社交家」、承認数は求めないけれど有益情報を発信したがる「協調的フォロワー」、世代によって偏りが全く違いました。10代、20代の割合が高い「リア充アイドル」はSNSを最もよく利用する層で、同級生等知人からの「いいね!」だけでなく、知らない人も含めた多くの人からの承認を得たがるタイプです。

—承認欲求のあり方が変わってきているということは購買行動も変化しているということですよね。

例えば10代、20代の女性は洋服を買おうと思った時にInstagramで検索をして、自分のお目当の洋服をすでに購入した人のコーディネートなどを参考にします。購入した後は自分自身でも写真を投稿します。そういう行動をしている彼女たちにブランドはどこで情報を渡すのが良いのでしょうか、LINE?それとも雑誌広告?彼女たちがSNSでシェアしたくなるようなプランニングを行えるマーケターの存在が企業にとって重要になってきますよね。顧客と同世代の感覚を持っていて、最先端技術を使いこなせる。この2つどちらもできる人が必要です。

—マーケティング部門に限らず企業の中枢は40代、50代が多くを担っています。そうなると「同世代感覚」はハードルが高いですね。

40代以上にはまた別のマーケットがあり、そこでは同世代感覚を共有できますが、それとは別に若い人の活躍には期待をしたい。もちろんできている会社もあるんですよ。ある企業は入社2年目の担当者が10代・20代のカスタマージャーニーに合わせて高速でPDCAを回して成功しています。SNSなどデジタル分野は若い人にとっては馴染み深いものなので、2年ほどの経験でもあっという間に使いこなせるのです。企業はもっとそこに気づいてほしいなと思いますね。

—加藤さんは以前から外資系企業で活躍されてきたご経歴をお持ちですが、人材育成の環境として日本企業のマーケティング部門の課題などはお感じになりますか。

アメリカはじめ諸外国から遅れをとっている人材育成後進国が日本です。マーケティングが専門職であるという意識がまだ浸透していないのです。想像していただけると思いますが、大企業であればあるほどジョブローテーションが活発なので色々な部門を人材が巡っていき、なかなかプロフェッショナルが育ちません。それに加えて、マーケティングより商品開発を重視する「良い製品さえ作れば売れる」という意識が根強いのも課題でしょうか結果としてマーケティング領域の人材数が少なく、企業間での獲得競争が激しくなっています。

—これから経営により近い場所でのマーケティング戦略が重要になってくると、「CMO(Chief Marketing Office)」への注目度もさらに高まってくると思います。

そこでCMOのネットワークを作ろうと、2014年から「JAPAN CMO CLUB」として発足させました。今では80社ほどの皆さんに参加していただき、月に1度集まってディスカッションを行うなど相互に研鑽をしています。ブランドとして目指していく顧客体験からの逆算を行い、人、予算、テクノロジー、時間を考える、経営のビジョンや企業としての目的を達成できるマーケティングの土壌を日本でも作れないか、と各社のCMOの皆さんと考えています。日本のビジネスパーソンはツールが大好きですからね。ツールの選定や評価を重視して、目的論を忘れがちなのでそこを変えたいな、と。ad:tech tokyoの参加者にも「最先端かどうか」だけの視点ではなく、自社や自ブランドの目的論に沿ったセッションへ参加してもらえればまず一歩になるはずです。

(聞き手:事務局 堀)

<プロフィール>
加藤 希尊
株式会社セールスフォース・ドットコム
マーケティング ディレクター
広告代理店と広告主、両方の経験を持つプロフェッショナルマーケター。外資系広告代理店 (WPPグループ) に12年勤務し、化粧品やIT など、14 業種において100以上のマーケティング施策を展開。2012年よりセールスフォース・ドットコムに参画し、AIやクラウドを活用したOne to Oneカスタマージャーニーの実現を啓蒙する。2014年に100 社のブランドを対象としたマーケターのネットワークJAPAN CMO CLUBを立ち上げ、マーケティングの力で日本に突き抜けた成長力を生み出すことをビジョンとする。著書に『The Customer Journey「選ばれるブランドになる」』がある。

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イベント概要
開催時期: 2018年10月4日(木)、5日(金)
開催場所: 東京国際フォーラム  東京都千代田区丸の内3丁目5−1
公式サイト:http://www.adtech-tokyo.com/ja/

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